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バイトに行く前にはご飯を食べなければ力がはいらない。
なので、わずかな食料は保存しておく。
今日は1袋8枚入れの半額食パンのあまりが見つかった。
ジャムもマーガリンもない、卵もない。
油だけは僅かにあったので油で揚げることにする。
油の1滴さえ大切にプライパンに落とし調理。
最後に残された食パン1枚を三分等にして
揚げる。
油で揚げ、炒めた食パンは味が増しているので
何もかけなくても甘く感じる。
大切に食べようと、できあがったパンは1切れだけ
食べ、残りは出勤前に食べることにきめる。
頭が痛いので寝る。
起床。
早速たのしみにしていた揚げパンを食べようと
台所へ行く。が、ない。パンがない。
愕然としている私に調子がよい母がひとこと。
「元父が食べた、元父のために作っておいたのだと思った」
?はぁ?馬鹿か?元父をどれだけ嫌っているか
母はさんざん知っているのに。
まぁ、言動と行動が一致しなくなって
きている母のことだ薬の副作用ということで許そう。
だが、元父もよく食べたものだ。私が子供のころから
食べ物があれば子供である私をさしおいて自分が食すのを
無常の喜びとしている人間だとは身に染みて理解している。
しかし、食糧難におちいっている家庭にあがりこんで
私がつくったと知っていて、また他に食べ物がないことも
理解してもなお食べたのだ。
母が元父を指した言葉を思い出す。
「子供のモノを食べたがる子供」
楽しみにしていたが、しかたがない。
代わりに味気ない握り飯を泣く泣くたべる。
まだ、頭が痛いので休んでいると出勤の時間。
はやくでないと遅刻をする。
が、ここでまた予想外のことが。
まず、自転車があるべき場所にない。
時間をかけ、辺りを探してもない。
母に聞いても分からないらしい。
どうすんだ、もう時間がない走っていくしかない
と騒いでいると家を寝床にしている元父が
「自転車ならあるだろう」とひと言。
どうやら自転車を隣家と接する細い道にわざわざ
移動したようだ。意味が分からない。
ちなみに元父はその自転車で私が出勤することを
知っている。移動したのならしたで報告ぐらいすれば
よいものを。
気をとりなおし、出勤。
腹空かしで力がはいらない体に鞭をいれペダルをこぐ。
移動している際嫌な予感をする。
出始めに嫌なことが元父絡みで2回もあった。
これはやばい。元父は自分が騒ぎの問題をつくって周囲を
振り回しても自分だけは助かるタイプだ。
つまり、不運をばらまきしても自分だけハッピー野郎。
そしてありがたくないことに不運は持続する。
時間ぎりぎりにバイト先へ到着。
誰がどこの場所を清掃するかを示した分担表を見る。
予想どおりに一番辛い場所に当たった。
元々動きがすばやく、男でもある私は最古参の方々でも
時間内には終わらせにくい清掃場所に割り当てられやすい。
だが、最近はこの一番面倒で作業が多い場所ばかり連続で
当たっていたので今日こそは違うとおもっていたらこれだ。